2012/06/02

「ヨルムンガンド」にはまる

きっかけはアニメでした。ええ、いまだに見てますよアニメ。春夏秋冬シーズンに始まる新作はひととおり内容をチェックして、めぼしいものはすべて視聴。そのあとどんどん振り落とされてくので、実際にシーズンで2〜3作しか見ないのですが、この春のシーズンはえらい豊作でした。

そんな豊作の中でも、アニメより原作マンガにはまってしまったのが「ヨルムンガンド」。少年兵ヨナが謎を秘めた女性武器商人ココ・ヘクマティアルとその仲間たちと一緒に世界を旅する、という話なのですが、これが猛烈におもしろい。いわゆる戦争アクションものですが、身近な内紛や国際問題をとりあつかっていて、どちらかといえば苦手なジャンルなのにはまってしまった。A対Bの戦いではなくその周辺を描いているからというのもあるかもしれませんが、とにかく話にスピード感と強弱があっておもしろい。感じでいえば、新谷かおる氏の「砂漠の薔薇/デザート・ローズ」っぽいとでもいいましょうか。

画力はどちらかといえばクセがあって苦手なのですが、それを凌駕するほどのストーリーの構成力でぐいぐい世界観にひっぱりこまれていきます。1テーマあたり数話で構成されているのですが、出てくる話にほとんど無駄がなく、次のあるいは全体の流れの中の複線になっているというのが見事。なんとはないセリフが思わぬところでつながってたり、いろいろハマるツボが用意されているのがニクイところ。

出てくる全てのキャラクターが魅力的で、笑わない少年兵のヨナの生い立ち、ココが常に笑みを貼り付けている理由、そしてココを守るチームそれぞれの背景がストーリーの進行とからみあって少しずつわかってくるにつれてさらに魅力が増していく。しかも、からんでくる敵キャラまでがユニークで圧倒的な存在感があるのです。名無しのやられキャラ1人でさえ味があって、人間をテーマにした話なんだ、というのがものすごく伝わってくる。にしてもよくこれだけバリエーションができるものだとそれだけで関心させられます。

普通ならこの手の設定説明が多い作品は苦手なのですが、「ヨルムンガンド」がしっかり見られる/読めてしまうのは、その作品力ゆえでしょう。といっても、アニメのほうはマンガ側のパワーにひっぱられすぎて、やや早歩き気味な感じになってきておりますが。

マンガのほうはすでに終了していて、全巻手元にあるのですが、こちらを先に読んでしまうとアニメが楽しめなくなりそうなのが悩ましいところ。仕事の忙しさで何とか我慢していたのですが、辛抱たまらず全巻一気読みしてしまいそうな気配。

読みたいけど読み終えるのがもったいない。そんな作品であります。

TVアニメ「ヨルムンガンド」公式サイト

連載先サンデーGX(小学館)のヨルムンガンド特設サイト